温羅(うら)

温羅(うら)

 

「温羅神楽」に出てくる神様です。

温羅はかつて大和勢力に征圧された吉備の英雄(冠者)の名として呼んでいます。吉備之伝説(きびのでんせつ)「温羅神楽(うらかぐら)」は、備中神楽発生以前からあるといわれる「吉備津能(きびつのう)」を引き継ぐ「能」として近年創作されたものです。

岡山県の吉備の国にあった新山(総社市阿曾)に鬼神と伝わる禍又温羅(かしゃうら)が立てこもって民を悩ましていたといいます。この邪道は極悪の限りがなく、当国主宰の岩山明神は吉備津彦の命(きびつひこのみこと)にこの温羅(うら)の退治を依頼し、激戦の後討ち果たすこととなりました。

温羅は後、吉備津神社の「お釜殿」のカマドの下に埋められていると伝承され、「釜」のその鳴り具合によって吉凶を占うという「鳴釜神事」がいまも継承されています。これは、温羅の「精霊」のお告げということで地元では根付いています。
このことは、「雨月物語」に「吉備の鳴釜」と記されて知られています。

金眼に赤ら顔ですが、何故か親しみを持てる吉備の鬼神の面です。

 

手名槌命(てなづち)と足名槌命(あしなづち)

手名槌命(てなづち)と足名槌命(あしなづち)

 

「八重垣能(やえがきののう)」に登場する老夫婦。

「八重垣能」は別名「大蛇退治(おろちたいじ)」ともいいいます。
高天原(たかまがはら)より出雲の国に追放された素戔鳴尊(すさのうのみこと)が道中のさなか、足名槌命(あしなづち)・手名槌命(てなづち)という両翁媼に出会います。八俣(やまた)の大蛇に娘を毎年食われるなげきの話を聞き、大蛇退治を引き受けます。そして、ひとり残っていた奇稲田姫(くしいなだひめ)を妻にもらい、出雲の国を開くといういきさつのものがたりです。

猿田彦命(さるたひこのみこと)

猿田彦命(さるたひこのみこと)

 

備中神楽の代表格です。

俗に、三災七難怨敵退散、悪魔降伏、疾病消除、家内安全、五穀豊穣、身体健全、万難退除の大神にて今日では交通安全の守り神とされています。

神代の昔、天孫降臨の時、芦原中津国に天下る「天孫ににぎの尊」の一行の先導者で神々の先払いをしたといわれています。

古文書に、鼻が長く、目が赤いとの記載があり、備中神楽では先払いの神として初っぱなに登場し迫力のある舞をして観客を引きつけるのが恒例です。
通常は二人、荒神(こうじん)神楽などでは人数が増えて四~五人での舞となります。

万古大王(ばんごだいおう)と修者堅牢神(しゅうじゃけんろうじん)

万古大王(ばんごだいおう)と修者堅牢神(しゅうじゃけんろうじん)

 

五行思想にのっとった教化神楽。
ここでは万 古 大 王(ばんごだいおう)について・・
五行幡割(別称五行幡分け・王子神楽)に登場する神で父の万古大王(ばんごだいおう)の五人目の子どもが宿った時に四人の子に伝言をのこし天上します。

太 郎 王 子 久久能智命 (くくのちのみこと)( 春・東方・青色・木 )
二 郎 王 子 軻句突智命 (かくつちのみこと)( 夏・南方・赤色・火 )
三 郎 王 子 金山比古命 (かなやまひこのみこと)( 秋・西方・白色・金 )
四 郎 王 子 水波女命 (みずはめのみこと)( 冬・北方・黒色・水)
五 郎 王 子 埴安彦命 (はにやすひこのみこと)( 土用・中央・黄色・土)

五郎王子は四人の王子を相手に問答論争をする程のしっかりものとなり、中央の御祖(みおや)となったという神です。