大国主命(おおくにぬしのみこと)

大国主命(おおくにぬしのみこと)

 

「国譲りの能(くにゆずりののう)」に出てくる神様です。

出雲の国の「主」である大国主命(おおくにぬしのみこと)の所領に経津主命(ふつぬし)と武甕槌之命(たけみかずち)の両神が高天原(たかまがはら)から天降し、「国を譲れ」と交渉にやってきます。
そこで大国主命は長子の事代主命(ことしろぬし)に相談し、国を譲ることになります。
しかし、次男の建御名方命(たけみなかたのみこと)(通称黒鬼)が反対し合戦となってしまうのです。
その戦いは建御名方命が屈することとなり「国譲り」が行われた、という能の神話です。

品のある面相で備中神楽の代表的な面です。

 

 

素戔鳴尊(すさのうのみこと)

素戔鳴尊(すさのうのみこと)

 

「大蛇退治(おろちたいじ)」に出てくる神様です。

別名「八重垣能(やえがきののう)」ともいいいます。
素戔鳴尊(すさのうのみこと)は高天原(たかまがはら)より出雲の国に追放され、その移動途中、足名槌命(あしなづち)・手名槌命(てなづち)という両翁媼に出会います。
その時、八俣(やまた)の大蛇(おろち)に娘を毎年食われる嘆きの話を聞き、大蛇退治を引き受けることとなります。
戦略を考え、闘いに至っては大立ち回りを繰り広げ、ついに成敗を果たします。
その後、ひとり残っていた奇稲田姫(くしいなだひめ)を妻にもらい出雲の国を開く、という能の神話です。

備中神楽の代表的な演目で、素戔鳴尊と大蛇の大立ち回りは一度観れば忘れられない勇壮さがあります。「黒髪」の髭に「金眼」が光り、屈服を知らない荒武者のような表情が印象的です。

 

 

思兼命(おもいかねのみこと)

思兼命(おもいかねのみこと)

 

「天の岩戸開き」に出てくる神様です。

天照大神(あまてらすおおみかみ)が弟である素戔鳴尊(すさのうのみこと)の悪行に怒り岩戸へ隠れ、天地は闇になってしまいます。困った神々は、思兼命(おもいかねのみこと)を中心に相談し、結果「舞」を舞うことに決まります。
岩戸の前で天鈿女命(あめのうずめのみこと)(女神)がこっけいな「舞」を舞ったところ、皆笑いころげることとなり、その楽しげな雰囲気につれられて、天照大神が岩戸の戸をそっと開けてのぞいた所を連れだし、世の中は再び明るくなった、という神話です。

思兼命(おもいかねのみこと)は、智恵の神ともいわれ「白髪」の髭に「金眼」がきらりと光り引き締まりった表情の人気の面です。

 

 

建御名方命(たけみなかたのみこと)

建御名方命(たけみなかたのみこと)

 

「国譲りの能」に出てくる神様です。

出雲の国の「主」である大国主命(おおくにぬしのみこと)の所領に経津主命(ふつぬし)と武甕槌之命(たけみかずちのみこと)の両神が高天原(たかまがはら)から 天降し、「国を譲れ」と交渉にやってきます。そこで大国主命は長子の事代主命(ことしろぬし)に相談し、国を譲ることになります。しかし、次男の建御名方命 (たけみなかたのみこと)(通称黒鬼)が反対し合戦となってしまいます。つまるところその戦いは建御名方命が屈することとなってしまい「国譲り」が行われた、という能のものがたり。

面相が派手で、舞も派手と人気の面です。

 

 

温羅(うら)

温羅(うら)

 

「温羅神楽」に出てくる神様です。

温羅はかつて大和勢力に征圧された吉備の英雄(冠者)の名として呼んでいます。吉備之伝説(きびのでんせつ)「温羅神楽(うらかぐら)」は、備中神楽発生以前からあるといわれる「吉備津能(きびつのう)」を引き継ぐ「能」として近年創作されたものです。

岡山県の吉備の国にあった新山(総社市阿曾)に鬼神と伝わる禍又温羅(かしゃうら)が立てこもって民を悩ましていたといいます。この邪道は極悪の限りがなく、当国主宰の岩山明神は吉備津彦の命(きびつひこのみこと)にこの温羅(うら)の退治を依頼し、激戦の後討ち果たすこととなりました。

温羅は後、吉備津神社の「お釜殿」のカマドの下に埋められていると伝承され、「釜」のその鳴り具合によって吉凶を占うという「鳴釜神事」がいまも継承されています。これは、温羅の「精霊」のお告げということで地元では根付いています。
このことは、「雨月物語」に「吉備の鳴釜」と記されて知られています。

金眼に赤ら顔ですが、何故か親しみを持てる吉備の鬼神の面です。