温羅(うら)

温羅(うら)

 

「温羅神楽」に出てくる神様です。

温羅はかつて大和勢力に征圧された吉備の英雄(冠者)の名として呼んでいます。吉備之伝説(きびのでんせつ)「温羅神楽(うらかぐら)」は、備中神楽発生以前からあるといわれる「吉備津能(きびつのう)」を引き継ぐ「能」として近年創作されたものです。

岡山県の吉備の国にあった新山(総社市阿曾)に鬼神と伝わる禍又温羅(かしゃうら)が立てこもって民を悩ましていたといいます。この邪道は極悪の限りがなく、当国主宰の岩山明神は吉備津彦の命(きびつひこのみこと)にこの温羅(うら)の退治を依頼し、激戦の後討ち果たすこととなりました。

温羅は後、吉備津神社の「お釜殿」のカマドの下に埋められていると伝承され、「釜」のその鳴り具合によって吉凶を占うという「鳴釜神事」がいまも継承されています。これは、温羅の「精霊」のお告げということで地元では根付いています。
このことは、「雨月物語」に「吉備の鳴釜」と記されて知られています。

金眼に赤ら顔ですが、何故か親しみを持てる吉備の鬼神の面です。